第66回 京都ちーびず応援カフェ in 精華町 相楽(さがなか)木綿(もめん)
京都地域力ビジネス応援カフェが2月22日(木)、相楽郡精華町 けいはんな記念公園内の「相楽木綿伝承館」で開催されました。地元精華町の皆さん、ちーびず推進員、京都府職員など多彩な参加者約20名が集い、賑やかに交流しました。今回は、京都の手織り木綿「相楽木綿」について、皆で学び、今後の活動についてディスカッションしました。また、NPO法人京小町踊り子隊プロジェクトの岩崎裕美氏より、「3部式ドリッコきもの」の紹介があり、参加者全員で試着体験を行ないました。
1.「相楽木綿の会」 活動紹介 福岡 佐江子氏
「相楽木綿の会」代表の福岡氏より、「相楽木綿の会」の活動について、説明がありました。
相楽木綿は、明治初期から昭和10年代にかけて、相楽村(現木津川市相楽)を中心に生産されていました。この地域は江戸時代から綿作が盛んでしたが、明治時代になって「相楽木綿」と呼ばれた木綿を織り始めるようになりました。「相楽木綿」は、藍染めの紺地に色糸の縞と絣が織り込まれた美しい木綿織物です。大和機(やまとばた)という独自の伝統織機で伝統の技術を使って手織りで織られていましたが、機械織機の普及とともに生産が途絶えてしまい、当時の織機を使いこなせる人も、技術を伝える人もいなくなってしまいました。そのような中、相楽木綿に魅了された福岡氏がこの伝統産業を後世に残そうと、活動を始めました。そして、地道な活動の結果、「相楽木綿伝承館」を開設し、相楽木綿を紹介しながら更なる伝承活動に取り組んでいます。
2.3部式ドリッコきもの体験 NPO法人京小町踊り子隊プロジェクト 岩崎 裕美氏
次に、NPO法人京小町踊り子隊プロジェクトの岩崎裕美氏より、「3部式ドリッコきもの」の紹介がありました。その後、参加者全員で実際にドリッコきものの着付け体験を行いました。ドリッコきものは、今年に入ってから香港やニューヨークなど、海外にも紹介する活動を展開しており、好評を得ているということでした。今回は、皆さんに実際にドリッコきものを着てもらい、細部に施された様々なアイデアや着付けのしやすさなどを実感してもらいました。参加者の皆さんからは、「非常に着やすい」「簡単に着つけが出来て着崩れしない」など、驚きと称賛の声が上がっていました。
3.グループによる意見交換会
最後に、グループに分かれて、①京都の手織り木綿「相楽織物」を楽しもう! ②3部式ドリッコきもので目指す縫製のお仕事づくり をテーマに、活発な意見交換会が行われ、下記の意見が出されました。
・「相楽木綿」としては、着物に使えるほどの量を生産できるキャパがないので、まずは和小物からやっていきたい。
・今のところは、コースター、ストラップ、鞄、袋物等の製品を作っている。
・自治体と連携して、出産祝いに贈るものを包む袋を作るという企画があったが、このような取り組みを他でも提案できないか。また、ふるさと納税制度の返礼品などとしても活用できないだろうか。
・現在子供たちを対象に伝承館で織物体験会を開いているが、地元でも認知度が低いため情報発信の工夫をして、さらに広めていく。
・ドリッコきものとコラボして、和装小物をつくる。そうすれば、地域で仕事が生まれ、伝統産業の保存・継承につながっていくのではないか。
・縫製の仕事は、いまドリッコきものの浴衣や、補正下着をやっている。3名で行っているが、家で出来る範囲の仕事量である。今後受注量が増えてくると、品質や納期の問題、作業スペースの問題が出てくるので、仕組みや体制を整える必要がある。
今回の応援カフェでは、私も男性用の着物を着させていただきました。男性用は3部式ではないものの、非常に着やすく新鮮な感覚があり、これを着てどこかに出かけていきたい気持ちになりました。ものづくりというものは、ただ単に自分たちがいいと思ったものを作るだけではなく、その製品を使用する場面や機会も提供して、直接お客さんの声を聞き、更に良い製品づくりに生かしていくことが必要であると感じました。