特定非営利活動法人 加茂女(かもめ)
~かぐや姫のおやつ~
「かぐや姫のおやつ」とは、料亭でも使われる地元山城産の無農薬タケノコなどを具材に、サプリメントにも利用される竹の微粉末を練り込んだ生地で包んで蒸しあげ、さらに焼いて完成させるユニークな商品です。2010年には「山城地区加工食品コンクール」において最優秀賞を受賞し、テレビや新聞でも紹介されるなど、イベント出店では人気を博し、行列もできるほどですが、「竹を食べて放置竹林を無くす」という所期の目的を達成するため、さらに売上げを伸ばせる価格設定方法などについてのハンズオン支援の依頼がありました。
1.加茂女(かもめ)の活動状況
NPO法人加茂女は、「住みやすく、生き甲斐のある、街づくりを」をテーマに環境問題に取り組んでいるグループで、現在は放置竹林拡大防止のための竹林の整備や間伐した竹を活用した商品の開発・販売事業が主な活動内容になっています。
商品としては、外見が肉饅頭やおやきに似ている「かぐや姫のおやつ」(税抜400円)のほか、タケノコとリンゴで作った「ちくりんジャム」(税抜500円)、タケノコを丸々1本分を煮込んで乾燥させた「筍するめ」(税抜き500円)など、どこにもないようなユニークなラインアップが揃っており、各種イベントやオンラインショップ、加茂女店頭などで販売しています。
また、加茂女の拠点である住宅を改造した厨房兼事務所で、カフェ「かもめの台所」をオープンし、週3回のカフェ開設と、毎週木曜日にはタケノコを贅沢に使い、全品竹の器に盛ったランチを提供しています。
2.今後の取り組み
今回の支援課題である価格設定の考え方については、一般的に、材料費や製造人件費などの原価に各種必要経費を加えた総コストから売値を決定する「コストプラス法」と、競合と思われる商品の価格を意識して決定する「市場価格比較法」の2つがあります。
主力商品の「かぐや姫のおやつ」はプレーン、ブラックペッパー、きのこ、あずきの4種を展開していますが、いずれも山城産のタケノコや竹の微粉末を使用するなど素材にこだわり、一つひとつ手間と時間をかけた手作りで、コストプラス法の観点からは、今後の生産性向上を前提としても、現在の400円を下回ることはできないと考えられます。
一方、市場価格比較法の観点から見た場合、商品説明として「京都のおやき」と称されていますが、おやきというと長野が有名で、その多くは150円から200円程度で販売されているため、どうしても価格が高すぎるように感じてしまいます。このように消費者が基準となる価格を思い浮かべて比較する習性をアンカリング効果と呼びますが、実際はおやきではなく、タケノコを具材とした和食料理まんじゅうであり、今後は、商品説明の工夫とともに、味覚や品質を訴求した販売戦略で価格を維持していくことも必要になってくると考えられます。
会議では活発な議論が交わされ、皆さんの熱心さを感じることができたので、今後の展開も大いに期待できそうです。
●平成28年12月2日掲載
【文責】一般社団法人京都府中小企業診断協会 藤村正弘