第44回 京都地域力ビジネス応援カフェ in 美山 下集落
~下集落の「ちーびず」紹介/「ちーたび」を作ろう!~

 2016年11月16日(火)、地域力ビジネス応援カフェが南丹市美山にある下集落センターにて開催され、20名の参加がありました。カフェ開催地周辺では紅葉が見ごろとなり、美しい美山の街路樹、山林を眺めながらの集いとなりました。
 この地域で地域力ビジネスに取り組む方々、それを支援されている方、京都府職員、中小企業診断士が参加して意見交換がはずみ、外は晩秋の寒さの中、カフェは熱気につつまれました。

1.下集落地域の地域力ビジネスの取り組みの発表とへしこの試食会

 まずは、下集落地域での取り組みを、下集落支援事業委員会事務局長である澤田さんから発表して頂きました。「長寿を目指す里」をテーマにした事業を継続して実施されており、食文化、伝統文化、農業、地域内外の人との交流といった視点での取り組み内容をご発表頂きました。ここの集落には高齢の方も多い中、入院されている人がゼロであり、健康でいつも家族一緒に過ごせること、これが地域の宝であるとの考えから、長寿をテーマにした地域事業に取り組んでいるということです。
 事業の柱には、鯖を使ったへしこ、なれ寿司といった食品の製造販売があります。なぜ、この山村で鯖の料理なんだろう?という疑問を感じますが、ここには若狭から京都への鯖街道があり、昔からこの地域で作られ、食べられてきた歴史のある食文化だそうです。下集落ではどこの家庭でも作られていたそうですが、数キロしか離れていない周辺地域には見られないとのこと。鯖街道とは言え、海岸から離れた山の中でここ下集落だけで作られていたようで、歴史の不思議ないたずらを感じます。
 先日開催された「2016鯖サミット」に福井高浜産の鯖へしこを出展したところ、すぐに完売したそうで、味の方も折り紙付き。今年度地域力ビジネスの交付金で加工場を新設。しっかりと継続したいという抱負も聞かせて頂きました。

 次に、なれ寿司、へしこを実際に作っている安田さんから発表。なれ寿司づくりのポイントは、すしの詰め方、鯖の塩加減といった点で、この加減がとても難しいということです。素材の味を大切にし、お酒と塩だけによる味付け。また、笹をたくさん敷き詰める必要があるが、近年は獣害により笹の確保が最大の課題、とのお話しでした。なれ寿司が食べられる時期は10月、約1か月間のみであり、秋の地域のお祭りまでが期間となっているそうです。今回は残念ながら時期終了後で、また、ぜひ機会をつくりたいと思います。
 発表の後は、昼食交流会で、へしこのおにぎりを試食。ごはんに混ぜ込むと塩味が緩和され、風味も香ばしく、とてもおいしく頂きました。焼いたなれ寿司もまた美味である等、集落の女性たちから地域のいろいろな食文化のお話をお聞きしました。



2.地域の伝統食は発酵食品を「ちーたび」でアピールしたい

 グループディスカッションのテーマは、「地域の暮らしを体験できる『ちーたび』を作ろう!」
 この集落では、なれ寿司やへしこのほか、季節の農産物等も塩やぬかに漬け込んで保存する食文化があり、今人気の発酵食品の宝庫。そこをアピールするようなちーたびのアイデアのほか、自然の美しさ、歴史的価値、それらを体験できる企画が次々と出されました。
 下集落の方々自身から「住むのに最適」と紹介される下集落で、ぜひ地域の方々と交流して素敵な生活文化を学び、みんなで継承していけるような「ちーびず」「ちーたび」に大いに期待したいところです。

【文責】一般社団法人京都府中小企業診断協会 柿原泰宏

【問い合わせ先】 京都府地域力ビジネス課(京都府ソーシャル・ビジネスセンター) 電話075-414-4865

 

京都ちーびず(京都地域力ビジネス)