第34回 京都ちーびず応援カフェin下京区松原
~商店街のあるまちで、暮らしを楽しむ事業を考えてみよう~


キーワード:①女性を集める②女性が買う③女性が活躍できる

 平成28年6月16日(木)「第34回 京都ちーびず応援カフェin下京区まつばら」が松原京極商店街内「ときじく」で開催されました。
 今回は、松原商店街の女性グループが「ときじく」を拠点にし、ちーびずの手法で買い物や賑わいづくりに女性の力を引き出したいとの意向を受けて、楽しむことが大好きな女性の立場に立ち、また女性目線で、女性の力をどう生かしていくかなど少し視点を絞って、商店街を盛り上げていける知恵・アイデアを出し合いましょう、とのお話しがありました。

1.歴史ある松原京極商店街

 次に、松原京極商店街振興組合理事長の井上昌則さんから、商店街の概要と現在の取り組みについての説明をしていただきました。
 松原京極商店街は、四条通と五条通の中間に位置する松原通に位置し、東は新町通、西は大宮通まで約600mの長さですが、この松原通は実は昔の五条通であり、五条大橋もこの地にかかっていたと言われることから、「義経と弁慶ゆかりの地」がキャッチフレーズになっています。
 35歳と若い井上さんですが、3年前の理事長就任時は、商店街の存続自体が危ぶまれる状態で、なんとか立て直しを図りたいとの想いで、商店街の唄を作ってCD化するというユニークな試みや防犯カメラの設置など様々な対策に奮闘してこられました。最近では毎月1回第1土曜に空き店舗を利用して、商店街以外の人たちに出店場所を提供するマルシェの開催も始まり、さらには開催日に合わせ、当日夕方には井上理事長の店で無料ライブ、夜には「ときじく」でのジャズピアノ演奏を行うなど、音楽をテーマにした試みは普段ライブ会場に足を運べない高齢者や子供連れの方にも大変好評です。また、春祭り、夏祭り、七夕などイベントにも力を入れています。


2.女性たちのチャレンジ~ 交流と情報発信拠点「ときじく」

 今回会場となる「ときじく」代表の守田雪子さんは、ご自身の英会話教室の運営とお子様の保育を両立させるため、縁あってこの地に引越してきましたが、商店街の女性たちが中心になって空スペースを活かし、縫製品などの委託販売、作品展やカルチャー教室などの会場提供に加え、喫茶店「ときじく」も開店することになりました。
 「ときじく」の看板メニューであり、井上理事長がブレンドに関わった「牛若」と「弁慶」というコーヒーが評判を呼んでおり、今回は浅煎りでスッキリ感のある「牛若」を、同じ商店街の「亀山」さん提供の水無月とともにいただきました。気持ちのよい苦みと香りが通り抜け、甘みがほどよい水無月との相性は抜群で、「おいしい!」「和菓子とお茶もよいが、コーヒーとの組み合わせもいける!」と驚嘆の声が上がっていました。


3.グループ意見交換会

 最後は3班にわかれ、各班で『①女性を集める②女性が買う③女性が活躍できる』という女性の視点に立った商店街の新しい事業や取り組みについて話し合いが持たれ、時間が足りないほど活発な議論が交わされました。
 まず、「女性を集める」という観点では、「1店1プランター運動」で商店街中を花で飾ることで、きれいが大好きという女性にアピールし、彼女たちが撮った写真がSNSなどに拡散されることで話題を呼び、更に女性を誘い込むというアイデアが出されました。他にも、未就学児童を持つ母親達向けに子供連れOKのランチ会を開催する、英会話・ヨガなど女性ターゲットの教室を充実させ、受講生層に効果的な商店街情報を発信する、などの意見も出ました。
 次に「女性が買う」という観点では、本物を知る経験豊かな中高齢女性をターゲットとして、おいしいお茶を楽しみながらの歴史・文化セミナーの開催や、安心・安全・健康に関心の高い女性向けに、有機にこだわるワインやパン、惣菜などを提供し、オーガニックやアレルギーに優しい商品が充実した商店街を目指す、さらには、夜でも明るい安全な商店街を作るため、すべての店が夜遅くまで開けなくても、夕方まで残った在庫などを一つの店に集め、働く女性などが夜10時頃まで買えるようにする、などのアイデアも発表されました。
 最後の「女性が活躍できる」では、商店街の役員以外、特に各店の奥様など女性を主役とした企画会議を立ち上げるという提案がありました。
 また、女性をキーワードとする新たな事業や取り組みを考える際、女性と言っても様々な年齢層・職業層があるため、まず居住者や来店顧客の調査・分析を行って、ターゲットを決め、ピンポイントで施策を絞り込む必要性があるという指摘もありました。
 商店街の中だけでは、とてもこれほど多くの意見は出てこないと井上理事長も驚かれるほど、様々な視点からの提案が出されました。
 大規模店の進出やクルマ社会の拡大で、各地で厳しい雰囲気が漂う商店街ですが、戦略×熱意×実行力の掛け算が成果であるという視点に立って、商店街に関わるすべての人たちが前向きに取り組めば展望が開けると感じられる応援カフェでした。

   【文責】一般社団法人京都府中小企業診断協会 藤村 正弘


【問い合わせ先】 京都府地域力ビジネス課(京都府ソーシャル・ビジネスセンター) 電話075-414-4865

 

京都ちーびず(京都地域力ビジネス)