こども芸術教室 Kidz Lab.(キッズ・ラボ)
~働く親の放課後育児支援と芸術教室~
こども芸術教室 Kidz Lab.(キッズ・ラボ)は伏見区の民間保育園内と上京区のお寺内で、放課後に通えるこども芸術教室を開催している任意団体です。働く親の「もっと子どもにいろいろな体験をさせてあげたいけど時間がない」という願いを叶えることのできる場として子ども向けのプログラムを展開しています。集中力や思考力、発想力などの感性の元となる力をつけるために、現役で活躍するアーティストが教室の講師であることが特徴です。現在は週3(伏見区週3、上京月2)の開催ですが、学童保育の代わりにも使えるという働く親のニーズを叶えるためには週4,5の運営ができる体制が必要と考えておられます。今回は、今後の活動基盤の強化と広報についてご相談があり訪問しました。
1.「こども芸術教室 Kidz Lab.(キッズ・ラボ)」の運営状況
代表の滝村陽子さんは、専門学校の先生として若者の教育に関わる中で、若者の好奇心が低く意欲のない若者が多い様子を目の当たりにし、集中したり没頭したりする体験が不足していること、特に子どもの頃の過ごし方が、その後人生にも大きく影響を与えることを感じてきました。平成22年に活動を始めた当初は不定期なイベントでの屋台教室を実施していましたが、本来の目的のためには、教室を定期開催すること、家庭ではできない考える力を高めるプログラムを実施することが必要と考えていました。そのため、現在の活動の元となる事業計画を策定、平成23年にはきょうと元気な地域づくり応援ファンドの採択を受け、平成24年春から教室の場所は移動しつつも、週3日の開催で現在の形になっています。利用対象者は子育て中の働く親とその子どもであるため、送迎サポートや居残り見守りサポートも行っています。特に送迎サービスについては民間のタクシー会社の協力を得てこどもだけで通園できるような運営体制をつくることができました。
定期的な教室に加えて、夏と冬には年少から子どもだけで参加可能な1泊の宮津への文化体験ツアーや、地域の和菓子屋さんの協力で半日の和菓子づくり体験教室、そのほか親からのニーズが高い英語体験教室も実施されています。
2.今後の展開に向けて
活動の運営スタイルは、「スリムなこと」と「コラボで広げる」を意識しておられます。小規模でも考え方に共感しあえる仲間と教室を運営し、自分でできない部分はコラボによって広げていきたいと考えています。この4月からは市内で学習塾を実施している方とコラボし、週1日を芸術教室としての開催する場をつくることで、当初の思いである「毎日学童保育として使える教室」を実現できることになりました。また春には現在芸術教室を開催しているお寺とコラボし1日イベント「Nehan・Lab(ねはん・らぼ)」を開催予定です。今回初めての試みですが、地域に認知していただけるように今後も継続開催していきたいと考えておられます。ただ、まだ安定した雇用を生める段階ではありません。収益事業も少しずつ確立してきている段階です。仲間を増やして、地域で必要とされる存在となり、働いている親のサポート、親ではできないことを子どもに体験させてもらえる教室プログラムのますますの発展を応援しています。
●平成28年1月20日掲載 【文責】一般社団法人京都府中小企業診断協会 阪本純子