クラフトミックス京都
~伝統産業の技術・感性・人材を現代に生かす~
「クラフトミックス京都」は、京都の伝統を守り伝える上質な天鵞絨(ビロード)などを、やはり京都の伝統の技や感性を伝える金糸やくみひも等と連携し、新しい使い方(ミックス)が出来るかを、企業と住民、専門家等との交流の中で検討し、試作品の制作・作品販売等の活動の中で、伝統産業の新しい方向性を模索していこうと活動を始めた任意団体です。
京都の伝統産業の技術・感性・人材を今後にいかに生かしていくか、その活動の継続的な発展のための支援、運営について考えるためハンズオン支援の依頼があり訪問しました。
1.「クラフトミック京都」の理念と活動
クラフトミックス京都は、平成27年10月に結成されたばかりですが、西陣で唯一天鵞絨(ビロード)を生産する事業所、金糸工芸の事業所、京町屋でレンタルギャラリー&スペースを運営する団体の女性たちが中心となって設立されました。
メンバーには、京都の伝統産業を現代の生活に生かしていきたいと想いが強く、そのためには、伝統産業同士、デザーナー等専門家、生活者との交流が重要と考えています。一流の京都の伝統にふれ、気軽にホンモノを楽しむことができ、そこに自分のアイデアをプラスできる場を提供していきたいとの思いです。
実践的な活動の第一弾として、「伝統にアイデアをプラス!~クラフト作品を考えてみよう~(ビロード生地・金糸編)」をテーマにクラフトミックス京都第1回茶話会が平成27年12月5日、「be-京都」で開催されました(参加費300円)。使用したのは、上質なのに製品になれなかった『もったいない』部分、ビロード生地の切れ端や試作の金糸など未使用の上質な素材です。
茶話会にはクラフトミックス京都のメンバーに加え、デザイナーさんもコーデイネーターに加わりました。参加者は13名で、工芸にに関心を持ちその活用を考えている方、新しい作品を検討している作家の方などが集まり、盛り上がりました。ここで出たアイデアをもとに、試作品の制作、作品販売も検討していくことになっています。
2.今後の発展を目指して
伝統産業の技・感性・人材を現代の生活の中に生かしていこうという取組は、日本の各地で拡がっています。丹後織物業では、白生地業者がシルクの浴用タオルを製品化し、自立化の道を探る例もあります。また、奈良では麻織物卸の老舗が蚊帳生地を活用し布巾等の生活雑貨を開発、東京へも進出し、その機能性やデザイン性から多くのユーザーを獲得しています。
交流の中で出てきた発想、アイデアをどう現代の生活をより豊かなものにするための実践的提案に結び付けていくのかが、今後の課題として重要です。また、現在のメンバーを中心に活動を積重ねると共に、行政や各種他団体等とも連携し活動の輪を拡大していくことも必要でしょう。
●平成27年12月24日掲載 【文責】一般社団法人京都府中小企業診断協会 金田修