京の起業家 No.29
起業家や経営者が集うと言われるawabar(アワバー/東京六本木)が、2020年11月、QUESTION 1階に、関西初出店しました。運営する株式会社cheersity 代表取締役の坂東拓海(ばんどうたくみ)さんにお話をお伺いしました。
株式会社cheersity
代表取締役
坂東 拓海 様
弱冠21歳!
京都芸術大学 情報デザイン学科4回生
京都芸術大学の4回生です。弊社にはまだ社員がおらず、役員4名とアルバイト10数名の構成ですが、全員学生です。京都芸術大学だけでなく他大学の学生もいますが、アートやデザイン系の人が多いですね。
実は大学の授業の一環でした。awabarオーナーで、さくらインターネット(株)共同創業者の小笠原治さんが、現在は京都芸術大学情報デザイン学科クロステックデザインコースのコース長をされています。僕たちはクロステックデザインコースの1期生で、このコースでは起業も授業カリキュラムの1つです。小笠原さんの指導の下、「起業って何だろう」「起業でどんな課題を解決するか」などを考え、考えるだけでなく実際にチームを組んでプロジェクトを始めます。
僕は特に学生のお金の課題を解決したいと思っていました。学生はアルバイトをやらざるを得ず、なかなか学業に専念できない。奨学金返済の不安などもあり、起業で学生のお金の課題を解決できないかと思ったことがきっかけです。そんなときにQUESTIONでawabarをオープンするから運営者を探しているというお話をいただき、仲間と一緒に会社を立ち上げました。
小笠原さんが出資してくれた他、僕たち学生も少額ですが出資しました。また今後の広告等の資金確保のためクラウドファンディングも活用しました。WEB公開からわずか50時間で100万円が集まり、最終的には150万円ほど調達できました。六本木のawabarに思い入れの強い人が応援してくれたことに加えて、小笠原さんが拡散してくれたことも大きかったと思います。
メンバーの中に飲食店経営の経験者なんて誰もいなくて、試行錯誤の繰り返しでした。機材やメニューもどんなものがいいのかわからなくて、ネットで調べまくったり人に聞いたり。経理も「借方、貸方って何?」というところから始めて手を動かしながら勉強しました。今ではメニューはコーヒー豆の販売店に監修してもらったり、経理は税理士についてもらったり外部の助けも借りながらなんとか回るようになりました。その瞬間にとっては毎日が山場でしたが、振り返ってみると全部乗り越えてきたので、たいしたことはなかったのかもしれませんね。
現金を扱うとリスクも工数も増えてしまうので、割り切ってフルキャッシュレスにしています。幸いほとんどのお客様が何らかのキャッシュレス手段をお持ちなので、特に問題は起こっていないですね。同じように割り切りで、現在はフードも扱わずドリンクのみとしています。
お客様とのコミュニケーションを大切にしたいので、2工程くらいで作れるものにメニューを厳選しています。そのかわり持ち込みOK、料理宅配サービスの利用もOKです。
自分たちが提供するプロダクトはお酒でもフードでもなく「応援」という概念です。cheersityのチアも応援からきていて、このお店に来て帰ったお客さんが「なんか今日楽しかったな」とか「もうちょっと頑張ってみようかな」とか、少しでも挑戦に対してポジティブ
な気持ちになれたらいいと思っています。
大学に入るまで起業って漠然とかっこいいと思っていました。でも実際にやってみて、起業とは自分のやりたいことを実現する手段だということを実感しています。そんな自分を応援してくれる人が周りにたくさんいてくれました。cheersityも「Cheer for thepeople, Expand the world.」人々を応援することで個人の世界や社会の世界を広げていく、そんなコンセプトで新たな計画を立てているところです。実際にやってみて初めて見えてくることが大半なので、仮説と検証を繰り返しこれからも変化を恐れず挑戦を続けたいです。
(取材:佐藤 智美)
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QUESTIONにお邪魔しました
2020年11月、京都市役所前駅前に京都信用金庫が「QUESTION」をオープンしました。コワーキングスペースやセミナールーム、コミュニティキッチンなどを備え、京都信用金庫の顧客でなくても利用することができます。
ここは様々な人の「?」が集まる場所をコンセプトにしており、持ち込まれた「問い」や「課題」を解決してくれます。これまでに持ち込まれた「問い」は「事業を立ち上げるにあたってアドバイスが欲しい」、「ひな人形をどう普及していったらいいか」など。「問い」に対し、QUESTIONスタッフがプロジェクトを組んで課題解決を支援したり、京都信用金庫のネットワークを駆使して、必要な人材や企業とマッチングします。(一部QUESTION会員でないと受けられないサービスあり。)目先の利益を求めるのではなく、未来の顧客との関係性づくりのための取組みだそうです。
QUESTION 天川謙さんから中小企業診断士へのメッセージ
中小企業診断士の皆さんのお客様の問いや課題をぜひQUESTIONに持ち込んでください。
一緒に考え、一緒に京都を盛り上げていきましょう!
■QUESTION |