京の起業家 No.27
京都商工会議所よりご紹介をいただき、京都市中京区で2019年8月にカフェ「TRIBUTECOFFEE(トリビュートコーヒー)」を開業された栗林寛様にお話を伺いました。
もともとコーヒーが好きで、大手外資系コーヒーチェーンに20年間勤め、店長から本社勤務、エリアマネージャーなど幅広く経験しました。
そこでの企業理念にも共感していたため、かなり悩んだ上での決断ではあるのですが、コーヒー豆や自家焙煎にもっとこだわりたいという思いや自分のこの先の人生を考えた時、定年を過ぎたその先もこの商売を続けたいという気持ちが募り、独立開業にいたりました。妻が賛同してくれたことは大きな後押しになりました。
自分が目標とする落ち着いた雰囲気のお店は路地裏にあることが多く、当初は郊外を含めて幅広く探していたのですが、この物件と出会いました。街中ですが、ビルの3階であれば、都会の喧騒を忘れてくつろぐことのできるお店を作れるのではないかと思い、ここに決めました。駅から近く、窓が北と西の2方向にあり自然光の差し込み方がとても良いのも気に入りました。
職場でも家でもないサードプレイス(第3の居場所)として、居心地のいい空間でこだわりのコーヒーを楽しみくつろいでいただくことをコンセプトにしています。
当店のコーヒーは、生産、流通、抽出それぞれのプロセスで一定の基準をクリアしたスペシャルティコーヒーを自家焙煎し、ハンドドリップで提供しています。コーヒー豆は産地指定のシングルオリジンの豆5~6種類の中から選んでいただけます。生豆は神戸の問屋から仕入れています。豆の品質の良さはもちろんですが、生産者を大切にする理念にも共感して、お取り引きさせていただいています。また、カフェオレに使用している牛乳も京都美山のものを用いて、ケーキやコーヒーペアリングプレートなどコーヒーにあわせるサイドメニューも厳選しています。
内装は、北欧の室内空間をイメージして、デザインしました。イスやテーブルなどのインテリア、食器などは自分で選び、窓から差し込む光や間接照明、スポットライトなどで店内の明るさを調整し、シンプルでいて、温かく落ち着きのある空間を心掛けました。また、お越しになられたお客様がそれぞれに居心地よく、お過ごしいただけるよう、店主と会話をしたい時は気軽にできる、ひとりの時間を楽しみたい時は無理に会話をしない、お客様とお店がほどよい距離感でいられるような、そんな空間を意識して、接客しています。
今は、Instagram やLINE などのSNS 活用、ショップカードの他店設置、雑誌媒体への掲載等でお店を知っていただけるよう、努力しています。SNS での発信は自店のことだけでなく、自分が訪れたコーヒー店の紹介なども行い、自分と同じコーヒー好きな方への情報発信になればと思っています。また、地元商店のコミュニティにも積極的に参加することで、自身の交流の輪もゆるやかに広げています。
2019年1月スタートの創業塾に参加して、お店のコンセプトや事業計画づくりのご指導をいただきました。卒塾後も経営支援員さんに定期的にフォローいただいており、とてもお世話になっています。直近ではSNS 活用の専門家による個別相談会をご紹介いただきました。
長くお客さまにご愛顧いただき、お客様同士もつながれるような場所となることが理想です。そのための試みのひとつとして、読書会なども企画しています。
また、ご家庭でもコーヒーを楽しむ方のお役に立ちたいと思い、コーヒー豆の販売にも力を入れています。10g単位の少量から、お試しでご購入いただけます。多くの方がご自身でコーヒーを美味しく淹れられるように、ゆくゆくはコーヒーの淹れ方教室なども開催したいです。
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【京都商工会議所 経営支援員 伊佐氏より】
栗林さんに選び抜かれたこだわりのコーヒーとコーヒーの美味しさを引き立たせるスイーツ、そしてインテリア、食器一つひとつにセンスが光る落ち着きのある優しい空間。美味しいコーヒーを飲みに、一人の時間を楽しみに、癒しを求めに、家族や友達とおしゃべりをするために、いろんな方がお越しになられます。この素敵なカフェにもっとたくさんの人が足を運んでくださるよう、本所も全力で応援しています!
(取材:松下 晶)
■TRIBUTE COFFEE(トリビュートコーヒー) |