京の起業家 No.16

二条城ふる田

 京都商工会議所よりご紹介いただき、平成28年4月に開業された日本料理店「二条城 ふる田」代表の古田幸平さんにお話を伺いました。

創業までの経緯を教えてください

 子どもの頃から料理が好きで、家族のために料理を作って喜んでもらえるのが嬉しく、料理人になりたいと思うようになりました。料理学校に進んだ当初はフランス料理の道を目指していたのですが、実習で出汁の美味しさに感動し、素材を活かしたシンプルな和食の調理方法に魅力を感じ、和食の道に進むことを決めました。卒業後、ご縁があっていくつかの料理店に勤務する中で、繁盛店の料理人は腕だけでなく、お客様とのお付き合いや先輩・後輩との関係、人柄も大変重要なことだと学びました。20歳の頃から自分のお店を持ちたいとは思ってはいましたが、具体的に考え始めたのは30歳を過ぎてからです。開業前には、商工会議所の創業塾で出会った仲間から紹介を受けた京都中央卸売市場の鮮魚店や和食店でさらに経験を積み、開業資金を貯めながら情報収集をしました。当時はハードワークで本当に大変でしたが、お店を持つための技術だけでなく、様々な経験や人との関わりを得ることができました。やはり「人」が人生で一番大事だと改めて感じています。

創業塾を受けられたということですが、商工会議所からはどんな支援を受けましたか?

 商工会議所の支援を受け開業した先輩から、支援員の山本さんを紹介していただき、タイミングよく創業塾がスタートする時期で、受講することを薦めてくださいました。創業塾では、お金の管理の話や経営について学び、これまで馴染みのない言葉も多く難しい内容もありましたが、そこで出会った創業仲間は、今もお互い刺激を受ける貴重な存在となりました。
 創業塾終了後は、鮮魚店と和食店で働きながら、妻と一緒に商工会議所の山本さんと面談を重ね、事業計画を具体化していきました。事業計画をまとめることができたのは、パソコン入力や文章作りを手伝ってくれた妻のおかげです。開店目前には中小企業診断士の先生の支援を受け、改めて店のコンセプトを再確認し、自信を持って店舗オープンを迎えることができました。

お店のこだわりなどを教えてください。

 アットホームで愛されるお店をつくりたいということは最初から変わらない思いです。
焼き物がメイン料理のため、お客様から見えるカウンター内に焼き場をつくり、季節の食材を炭で焼いたものを出しています。バチバチという素材を炙る音や食欲を刺激する香りなど、調理のライブ感も楽しんでいただいています。小さなお店だからこそ、お客様の五感すべてが満足できるおもてなしを心がけています。そのため、完全予約制の営業で、回転を上げすぎて料理の質を落とすことのないように心がけています。

1年たっていかがでしたか?今後に向けての課題は?

 1年目は順調だったと思います。美味しくてお得感もあるという口コミを頂いています。何度も通ってくださっているお客様もいます。若い従業員も一人雇用することができました。「美味しい」というのは当然なので、和菓子職人である妻の和菓子を取り入れるなど、おもてなしや料理に創意工夫を加えて、料理のクオリティももっと上げ、さらに居心地いいお店をつくっていきたいです。
 現状、特に宣伝はしていません。烏丸御池から二条城までの導線に立地し、意外と人通りが多いので、店前にショップカードを置いていますが、それ以外は口コミとfacebookだけです。今後は、近隣のホテルへ営業したいと思っていますが、何年も先まで予約が取れないような店は目指していません。今の座席数で、家族との時間も大切にし、従業員と研修旅行もできるよう、自分自身のできる範囲、目の届く範囲でしっかりと店を守っていきます。

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【京都商工会議所 経営支援員 山本智志氏よりひとこと】
 創業相談を開始した時から創りたいお店のイメージをしっかりと持たれており、立地やお客様のターゲットを明確にした上で開業されました。東京や名古屋から来られるお客様も多く、料理はもちろん、古田さんの人柄に魅力を感じ喜ばれているのだと思います。落ち着いた雰囲気の中で本格的な日本料理が楽しめるお店として、これからも頑張っていただきたいです。

(取材:阪本純子)

事業所情報

 二条城 ふる田
 京都市中京区 押小路通小川西入ル古城町371
 Tel.(075)254-8377
 営業時間:17:00~20:30(最終入店時間)
 夜:おまかせコース 13,000円(税サ別) 
 昼:ご相談

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