ここ数年以内に起業された個人あるいは法人様を、診断京都の編集担当者が取材をしてご紹介するコーナーです。 創業のきっかけや創業後の取り組みについてお聞きしています。
古民家カフェ「四季菜きはら」
公益財団法人京都産業21様にご紹介いただき、平成28年7月1日に開業した古民家カフェ「四季菜きはら」オーナーの木原由利子さんにお話しをお伺いしました。
起業のきっかけは？いつごろから考えられていたのでしょうか？
一昨年、息子と娘と私、それぞれのタイミングが重なって突然、起業することになりました。息子は、京都市内の叔父の工房で木工の仕事を教わっていたのですが、その工房が閉鎖することになり与謝野に自分の工房を持つことになりました。娘は農大卒業後、与謝野で農業に従事する中で、一般流通に乗せることのできない与謝野の自然豊かな土地で育ったおいしい野菜を活かしたいと考えていました。そこで、地元の季節野菜中心のカフェダイニングをつくることになりました。母屋で「四季菜きはら」を娘が中心で運営し、隣の離れで、息子は（A'sK工房）を開きました。
商工会や産業21などの支援機関からどんな支援を受けましたか？
地元の商工会で創業補助金を知り、お店と工房で申請をしました。申請書に書いてある専門用語等、内容が難しく、書き方が全く分からなかったのですが、商工会の担当の方に大変丁寧に助けていただき、補助金を申請し活用することが出来ました。さらに、商工会や地元の青年団つながりで電気や水道などの地元の事業者の方を紹介していただきました。
このお家はどういったご縁で見つけられたのですか？
娘のことを知っていた方にご紹介いただきました。20年近く空き家になっていた築130年のお家ですが、きれいに管理されていました。大切にされていたお家だということが分かり京都から来て頂いた棟梁に相談し改装するのではなく修復復元と耐震強化していただきました。庭の花壇は、瓦屋さんから古瓦を頂いて仕上げました。庭の敷石は地域の人が使わなくなったものを頂いたものです。家を修復する過程から、近所の皆さんに大変助けていただきました。内装には、頂いたちりめんや友禅染の生地を取り入れ、ライトは、地元の千年椿のイメージをデザインしたものを工房で息子が作りました。華やかで女性的、ゆったりしてもらえる空間を演出しています。
また、開店後も、地元の方が畑の野菜を持ってきてくれたり、瓦屋さんも定期的に見に来ていただいたりしています。店では、調理用と暖房用の２台の薪ストーブを入れて頂きました。そのストーブ屋さんでもお店の宣伝をして頂いています。このお店は、地域の皆さんに大切にして頂いてると感じています。
今後の展開は？
与謝野には、工場などなく、きれいな空気と水で元気に育った自然野菜やお米は大変美味しいです。地元の農家さんのこだわりを紹介し育てられている自然野菜やお米といった食材を（与謝野）ブランドとして広げていくために、与謝野の「四季菜きはら」のお野菜ボックスの販売を進めています。初回は、四季菜きはらのお野菜を作って頂いている農家さんのお米食べ比べセットです。生産されるお野菜の中には、一般的な流通の規定サイズに合わない物は出荷できないんです。味は変わらないし物によると美味しい物もあるんですけどね。そこで何かできないかと思いました。また、農家さんは変わり野菜や伝統野菜の生産には取り組みたいが、販売先を見つける時間がないのが現状です。私たちが「お野菜ボックス」として販売することが、そういった課題の解決策になります。
このお店は地域の方皆さんの居場所にしてもらっているのかなと思っています。今後はさらに与謝野の良さを発信していくことで、地域に貢献していきたいですね。
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【与謝野町商工会 経営支援員 吉岡平介氏より】
創業相談に来られた際は既に古民家を購入されており、オーナーの由利子さんは京都市在住で飲食店経験もないという事で大変戸惑った反面、由利子さんの抱く生産者の見えるものしか提供しない考えと、与謝野町へ就農移住し10年が経過していた娘さんのJAやスーパーに向け大量に生産される野菜づくりではなく色々な野菜を育てたいという思いを伺い、近隣地域にない都市部の方をターゲットにする事が可能な強みを有するお二人に高揚感を覚えた事を思いだします。現在では、他市町村の方や都市部の方の来店も増えており、都市部の方へ向けたお野菜ボックスの事業化も準備中で、これから益々活躍が期待される楽しみなお二人に伴走支援をしていきたいと思います。
（取材：阪本純子）
事業所情報
四季菜きはら （カフェレストラン）／ A'sK（アズケ―）（木工芸工房） |