京の起業家 No.12

祇園もりわき

 京都商工会議所よりご紹介いただき、平成26年8月に開業された日本料理店「祇園もりわき」代表の森脇努さんにお話を伺いました。

開業までの経緯を教えてください。

 学生の頃、地元舞鶴の居酒屋でアルバイトをしていたのですが、その店主の方に憧れ、いつか自分の店を持ちたいと思うようになり、料理専門学校に進み、京都市内の料理屋に就職しました。その後、寿司割烹での勤務を経て、尊敬する料理長がいた京都ホテルオークラ「入舟」や「祇園京柿」、「祇園おかだ」に勤務し修行させていただきました。
 25年間の修行の間、夢であった店をもつために、2011年に物件を見つけ工事をしていました。内装はデザイナーの方にデザインをお願いしていましたが、大家さんとの折り合いがつかずに工事を途中で中断し、開業を見送る決断をしました。その時に自己資金は使い果たしてしまいましたが、あの時の失敗があるからこそ今の自分がいると思っています。

その後どうやって今のお店の開業にたどり着いたのでしょうか?

 もう絶対に失敗できないという思いで、店のこと、料理のことを真剣に考え直しました。「〆に蕎麦を出す会席料理」を提供することを決め、東京の蕎麦屋さんに無理を言ってお願いし作り方を教えていただきました。その後、「祇園おかだ」の大将からカウンターを勉強したらどうかと声をかけていただき、働かせていただきながら自己資金を貯め、物件を探しました。ご縁があっていまの物件と出逢い、商工会議所に相談に伺いました。

このお店は前回工事を中断したお店とは違うものになりましたか?

 熱意も覚悟も全く違い作りたい店が明確となり、すっきりとした気持ちで、迷いなく前を見て進めることができました。この店は、日本料理店の内装をしたことのない職人さんでしたが、人間性に惹かれて今回お願いしました。カウンターの木などは、器や花器を作っていただいている木工作家さんと岐阜まで取りに行きました。準備段階から多くの方に助けていただいたお陰で開業できたと思っています。

お店のウリや特徴は何ですが

 多くの方に日本料理を堪能していただきたいとの想いから、旬の食材を使った会席料理をリーズナブルな価格で提供させていただいております。〆の手打ち蕎麦は蕎麦屋さんに引けを取らないようにと毎日誠心誠意打っています。

雑誌やブログにも多く取り上げられていますが、お客様は増えてきましたか?

 開業当初は、お客様が少なくて不安な日々でしたが、京都で有名な方のサイトに取り上げていただいたのをきっかけに、雑誌や他のブログにも載せていただき、徐々にお客様に来ていただけるようになりました。店があることを知ってもらうためには、雑誌などの効果は大変大きいです。口コミで来ていただいたり、ずいぶんと前の私の勤務先のお客様も来ていただいたりと、本当に有り難いかぎりです。まだまだ至らない点をお客様から教えていただくことも多く感謝しています。

開業後2年が経ちましたが、今後の展開は?

 1年半くらいは妻と二人で営業していましたが、泊まり込む日がほとんどでした。人を雇うとなると責任もありますが、やはり調理を一人でするのは限界があり、今年4月から従業員を1人雇いました。店の規模を大きくすることは考えていません。リピーターになってもらえる方が増えるように料理のバリエーションを広げ、デザートも勉強していきたいです。

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【京都商工会議所 山本智志氏からひとこと】
初めてお会いしたのは26年2月です。すでに物件も決められており、開業に向けて逆算されてしっかりと準備されていました。創業計画は1週間に2回のペースで面談し確認するという急ピッチで作成、商工会議所独自の補助金も店舗設備に使っていただきました。今後もこだわりを大切にますます存在感のあるお店を目指して頑張っていただきたいと思います。

(取材:阪本純子)

店舗情報

 祇園もりわき
 京都市東山区祇園町南側570-177
 TEL.075-525-1030
 営業:12:00~13:30(L.O)/18:00~20:30(L.O)木曜休み
 昼:3500円・5500円・7000円 夜:7000円・10000円・13000円

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