ここ数年以内に起業された個人あるいは法人様を、診断京都の編集担当者が取材をしてご紹介するコーナーです。 創業のきっかけや創業後の取り組みについてお聞きしています。
京都パン工房（きょうとぱんこうぼう）
京都商工会議所様よりご紹介いただき、平成２６年７月にオープンされた「京都パン工房」の代表 平和彦さんにお話をお伺いしました。
創業を思い立ってからオープンまで
友人の紹介で商工会議所に相談に行ったのが２５年７月。最初は「１００円パンをやりたい」という思いだけでした。そこから経営支援員に相談しながら事業計画書の作成に着手、具体的な創業に向けた動きがスタートしました。
計画作成と同時進行で物件探しも行いましたが、なかなか見つからず苦労しました。候補となる物件を見つけるとすぐに支援員に相談し、道路や住宅、学校、周辺のスーパーなどの商圏の状況についてアドバイスをもらいました。
本当はパン業界の繁忙期である春にオープンしたかったのですが、物件の選定が長引き、オープンは２６年７月とパンの市場が最も冷え込む夏場なってしまいました。そこで７月から８月いっぱいは営業しながら従業員教育や営業体制を確立する助走期間とし、９月を本格オープンと位置付けたので、気持ちの上では現在でちょうど開業１年という感じです。
事業計画段階から創業融資や補助金といった資金調達のこと、オープン時の広報など、支援員にはこまめに相談にのっていただきました。今でも立ち寄っていただき、いろいろな情報を頂いています。
広報や販促はどうしていますか？
特に開業当初の広報については支援員よりアドバイスをたくさんもらいました。当初、広報活動は一切せず、口コミで広げていくことを考えていましたが、支援員からのアドバイスを受け、７月の開業時に半径１キロに限定した区域に折り込みチラシをいれ、９月の本格オープンの時には地元タウン誌の記事広告を活用、範囲を大幅に広げてPRを行いました。それに加えてスタンプカードを導入したことで、近隣の住民やお勤めの方を中心にリピーターの確保につながりました。
ホームページやお店のロゴ、店内の販促物などのデザインはすべて妻がおこなっています。店内の販促はどのようにすればお客様にメッセージが届くかを常に考えており、新しい商品はレジの横に場所をとり大きめのPOPをつけて分かりやすくするなど、創意工夫を繰り返しています。
現在、アルバイトを含めて10人以上の従業員がいるのですが、スタッフ全員が同じ思いを共有し、お客様に対応できるようにしなければいけないところが難しいです。
お店をオープンさせて１年、いかがですか？
１年があっという間でした。最初の半年は本当にきつかったです。半年過ぎた頃から、徐々に数字が見えるようになり、様々な点で効率をあげる方法を考える時間も出てきました。
人の調整、仕入量・価格の見直しなどを進めながら1年が経過し、ようやく季節や天候による売上の変化も掴めてきているというのが今の状況です。これら営業をしながら得た生の情報を生かし、利益を生む体制づくりを目指します。
また、当店ではオープン当初から常時１００種類以上のパンを並べています。今後はお客様の反応を見ながらですが、営業時間中に焼き立てパンの追加ができるよう、もう少し商品を絞り込むことも考えています。当店の他の「１００円パン」との差別化のポイントは、原材料にこだわり、国産小麦を中心に天然酵母なども使用した１００％店内で焼きあげたパンを並べている手作りパン屋さんであるということ、安心安全が重要視されるなか、食育のことも考えてパンをつくっています。
これからやっていきたいことをお聞かせください。
今後、売場をもう一つ作ることも考えています。今の工房でつくった商品を直送して売る売場です。
「１００円パン」という一時期のブームに乗るだけでなく、今後、長期的に営業を続けていくために、手作りパン屋さんの良さを活かして、材料にこだわり、お客様に受け入れてもらえる商品をどんどん作っていきたいです。
原材料もフランス産やカナダ産なども魅力的だと思っています。美味しいパンを作り、より多くの方に楽しんで頂くため、売り場を増やすことも考えないといけないと思っています。
お店のおすすめは？
塩パンは特におすすめです。他のお店の塩パンと一度食べ比べてもらう価値のある商品です。開業当初からつくっているパンで、主力商品にするつもりはなかったのですが、予想以上に人気があり、看板商品になりました。「上がさくっと、下がざくっと、中がもちっと」３つの食感を楽しんで頂けますので、是非ご賞味ください。
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京都商工会議所 経営支援員 梅垣純氏より
開業から1年が経過し、流れも掴めてきたと思うのでロス削減に努め、しっかりと利益を追求してほしいですね。事業拡大と併せて競合店の進出に対するリスク回避のためにも、複数の売場確保を当初から薦めています。そのための人材の育成、資金確保も常に頭において事業を進めてもらいたいと思っています。「塩パン」は本当に美味しくおすすめです。是非一度食べてみてください。
（取材：阪本純子）
店舗情報
・代表者：平 和彦氏 |